ヨーロッパのスープ

世界の料理を見ていくと、どの国にも地元の食材を生かした具だくさんのスープがあります。大きな鍋いっぱいに野菜を入れてコトコトと煮込むスープは、どこの国の人にとっても懐かしい母親の味なのです。暖炉やストーブに鍋をかけてじっくり煮込むので、家中においしいにおいが漂って、幸せな気持ちにしてくれます。スープこそ家庭の味、平和の味、愛情のシンボルであり、健康の源なのです。まずは、ヨーロッパのスープを紹介します。

フランス~「ポトフ」

ポトフは、フランス全土で作られている最も家庭的なおそうざいのひとつです。

つくり方

ポトフの調理では、牛の骨つきすね肉や丸鶏と、ニンジン、カブ、セロリ、ポロネギ、タマネギ、キャベツなどの野菜をいずれも塊のまま、ブーケガルニ(香草の束)とともに大鍋に入れます。それを沸とうさせ、浮いてくる脂やアクをすくい取ったあと、静かに四~五時間かけて煮込みます。

忙しい人にとってはもってこい

ポトフはスローフードの代表のような料理ですが、いったん火にかければ仕事の合間にできあがってくれるだけに、忙しい人にとってはもってこいの料理だとか。

特徴は食べ方

飲んでから具を味わう

特徴のひとつは、食べ方。まず、お皿にパンをおき、温かいスープを注いで飲んでから、具を味わいます。肉には、スープにとられた味を補うため、マスタードやホースラディッシュ(西洋ワサビ)などのピリッとした香辛料をそえます。

ジャガイモを加えることも多いですが、汁に独特の味が出ますし、色も濁るので、もし加えるときは、別にゆでて加えるとよいでしょう。

翌日はグラタンやサラダに

ポトフは大量に作るのが普通。余ったら、翌日はグラタンやサラダに使い回します。

イギリス~「フィッシュチャウダー」

魚介と野菜のミルク煮

チャウダーは英国生まれの魚介と野菜のミルク煮のこと。チュリーン(スープを入れるボウル)にこそ入って出されるけれど、スープというより、具が盛りだくさんの煮もの風です。もともと、魚を一匹釣ったときに作ったそうです。

つくり方

牛乳でとった魚のストック

料理法はまず、牛乳で魚のアラや骨を煮だしてこしてスープストックを作ります。そのあと、寸銅鍋にジャガイモ、ニンジン、タマネギなどの1㎝角切り野菜と、グリーンピースと魚の切り身を段々がさねに並べ入れて、牛乳でとった魚のストックを注いで、やわらかくなるまでぐつぐつ煮込みます。

とろみがつくまで4、5分煮む

野菜がやわらかくなったら、塩、こしょうで味をととのえ、牛乳でといた薄力粉を回し入れて、とろみがつくまで4、5分煮こんででき上がり。

ボストン風、マンハッタン風など

チャウダーは、ピューリタンの人々とともに新天地にも渡り、アメリカではニューイングランド風、ボストン風、マンハッタン風……と、微妙に変化して残っています。

アメリカ生まれのクラムチャウダーも

オイスター(牡蠣)、クラム(ハマグリ)、クラムブロッサム(アサリ)、フィッシュ(タラなど魚の切り身)など、加える主役の素材の名前をとった名称で呼ぶことが多く、クラムチャウダーは、実はアメリカ生まれでフィッシュチャウダーのジュニア。

イタリア~「ミネストローネ」

栄養たっぷりの朝食に

「朝食なら、これにパンを添えれば栄養の面でも充分」とイタリアではいわれるミネストローネ。「お母さんの愛情スープ」とも呼ばれる野菜いっぱいのスープです。

料理の注意点

タマネギ、ニンジン、セロリが必須

ミネストローネの調理の際に守るのは三点。まず、イタリアの人たちが「ゴールデン野菜」と呼ぶ、タマネギ、ニンジン、セロリを風味づけに使うことです。

乾燥インゲン豆を加える

他の野菜は何でもよいけれどトマトはお忘れなく。次に乾燥インゲン豆をもどして加え、米かパスタかジャガイモを加えることでとろみをつける。

味出しはべーコンまたは塩豚

後はべーコンまたは塩豚で味出しを。オリーブオイル、水、塩が決め手のわかりやすい作り方と味のスープです。最後はチーズのひとふりで味を仕上げます。

具材は10種以上

現在、イタリアの各地にミネストローネはありますが、ローマ、ミラノ、フィレンツェ・・・と、どこで食べても具材は10種以上はあるようです。

スペイン~「ガスパチョ」

びしょびしょにぬれたパン

「ガスパチョ」とは、「びしょびしょにぬれたパン」というイスラム語。「食べるサラダ」とも呼ばれています。日本では、トマトベースの冷たいスープの固有名詞のようになっていますが、スペインの地方によっては、パンをベースにしたどろどろの野菜ソースをかけた温かい料理だったりいろいろです。

料理法

私たちが知っているガスパチョは「アンダルシアのガスパチョ」が正式名。固くなったパンをおろしてパン粉を作ります。赤ピーマン、トマト、キュウリもすりおろしてパン粉と混ぜて、冷蔵庫で一時間ほど冷やします。

ペースト状に

すり鉢にニンニクをすりおろし、オリーブオイル、パプリカ、ワインビネガーを加えて、ペースト状にします。冷やしておいた野菜のすりおろしに加え、冷水でときのばし、塩、こしょうで味をととのえます。

おろし金

量が多くなるとミキサーにかけますが、おろし金でおろしたほうが、味は良いようです。好みでトマト、キュウリ、緑ピーマン、タマネギ、ゆで卵、パンの角切りを浮かすこともあり。これはちょっと気取った日のサーヴのしかたです。

ドイツ~「豆のスープ」

豆のすごさ

豆は、その一粒に炭水化物やたんぱく質、微量栄養素がギュッとつまっている上に、食物繊維の含有量も高い、栄養学的に優れた食材です。

世界中にある豆

世界にさまざまな豆料理がありますが、それは豆がどんな土地でも栽培できたからにほかなりません。インゲン豆の原産地はメキシコや中南米、ささげ豆はアフリカ、ガルバンゾは西アジアから地中海沿岸にかけてなど。

こうした地域では、豆を食べてきた歴史も古く、収穫後乾燥すれば、半永久的に保存できることから、飢饅・災害への備蓄食糧としても重宝がられてきました。

どの国のレシピを見ても、家庭料理の具だくさんスープには豆が入らないほうが不思議なくらいです。

青エンドウ豆のスープ

ドイツの青エンドウ豆のスープも日本の大豆をすりつぶして作る呉汁に似た味わいです。

作り方

青エンドウ豆を水でもどして、ニンジンといっしょにベーコンを塊で水からやわらかくゆでて、取り出します。ベーコンとニンジンは細かくきざみ、みじん切りのタマネギとバターで妙めます。

静かに煮込む

エンドウ豆はうらこしするかフードプロセッサーにかけ、豆をゆでた鍋に戻し、塩、こしょう、マージョラムで調味。スパイスのきいたビーフソーセージを加えて、静かに煮込めればでき上がりです。