中国~「ふかひれスープ」
ふかひれスープは、1本1本ほぐれた金糸と呼ばれるタイプのふかひれを使って作る、慶祝の行事のときのスープです。
お祝いのときの料理
仕上げるまで4日間
水もどししてアクを抜き、鶏のスープで煮こみ、柔らかくとろけるように仕上げるために、4日間という手間と時間がかかります。素材自体が希少価値なもので、本来結婚式やお正月、喜寿のお祝いのときなどに料理されるものです。
調理法
コラーゲン
ふかひれの軟骨部分である、コラーゲンそのものが消化できるレベルまで調理されます。コラーゲンは骨や筋肉を強固につなぐ働きがあるところから、不老長寿の薬効をたたえられています。
ふかひれ自体は無味
ふかひれ自体は無味そのもの。鶏のスープや彩りに加えるカニの身や青味、拘杞の実などでスープの味は決まります。
韓国~「キムチ鍋」
韓国の家庭では毎食のように作るのが、スープ代わりの「キムチ鍋」です。
作り方
白菜キムチ
ベースは煮干しと出し昆布でとったスープに、野菜や魚を入れて煮込み、白菜キムチを刻んで加え、真っ赤なヤムニムジャン(薬味醤をかけて作ります。
季節の野菜に魚、肉
最後に豆腐
白菜、ダイコン、モヤシ、ナス、シイタケ、ニラ、春菊、ゼンマイなどの手に入りやすい季節の野菜に、タラやサケ、サバ、カワハギなどの魚や、鶏肉、レバーなどのたんぱく質食材を、どれか一品は必ず加えること。忘れてならないのは、最後に切った豆腐を加えること。
血のめぐり改善
動・植物性たんぱく質に、野菜たっぷりのキムチ入りの真っ赤なスープが、夏でも冬でも体中を温めて血のめぐりをよくします。
締めに麺類
最後は麺類を加えて、旨味やビタミン類の溶け出たスープを吸わせて仕上げるのが一番という人も。栄養バランスのすぐれた一品です。
タイ~「トムヤムクン」
タイ人にとっての味噌汁
甘くて辛くて酸っぱくて、まるで人生のような味、とタイの人たちがいう、日本の味噌汁的存在の"トムヤムクン"。
エビ、竹の子、フクロダケ
さまざまな素材が入っていますが、作り方はとても簡単。エビ、竹の子、フクロダケ、または生シイタケ、長ネギがあればOKです。
香りと辛味
スープはカー(ショウガ)、パクチー(香菜)、レモングラス(すすきの葉のような香辛料)、バイマックルー(ライムの葉)、プリッキーニ(とびっきりの辛さの唐辛子)で香りと辛味を整えて、チリオイル(ラー油)、ナンプラー(しょっつる、魚醤)、レモン汁と塩で味をととのえます。スープストックは用いず、鍋に水を煮たたせたところへ、材料を次々に加えます。
さっぱりした酸味と辛味
油気なしのさっぱりした酸味と辛味がこたえられないのだそう。家庭では水を半量にして、牛乳やココナッツミルクを加えることも多いです。
ロシア~「ボルシチ」
ロシアの代表的なスープ〈ボルシチ〉は、国土が広いだけに、地方によって具材はさまざま。
作り方
具材
豚バラ肉、牛のバラ肉、すね肉、マトン、ミートボールなどの肉類に限らず、ニシンなどの魚介類が入ることもあります。
正式な食事
重要な料理
ボルシチはパンと同様、正式な食事には欠かせない重要な料理。スタイルは様々ですが、共通しているのは、必ずビーツを入れること。トマトを入れるのも一般的です。
骨つき牛すね肉
骨つき牛すね肉(輪切りにした骨の中に鶏の目のように丸い髄のある部分)、ニンジン、タマネギ、ローリエ、粒こしょうを、肉が骨からはがれ落ちるまで煮込み、はがれた肉は細かくきざみます。トマト、キャベツ、ゆでておいたビーツのサイコロ切りを加え、やわらかくなったら、塩味をととのえ、火をとめて一晩おき、食べるときに、別鍋にとりわけ、ゆでておいたジャガイモを加えて加熱。
サワークリーム
器の底にサワークリーム大さじ1ぱいほどすくい入れ、その上にボルシチを盛りこみ、ディルの葉を散らします。白いクリームとビーツの赤紫が混じりあって、なめらかな美しいピンク色のスープになります。
抗酸化作用
一皿で野菜250gと牛肉70g
ざっと計算したところ、一皿で野菜250gと牛肉70gが食べられます。トマトとビーツに含まれるリコペンの抗酸化作用と、ジャガイモやキャベツから汁に溶け出たビタミンCでたんぱく質の吸収力もアップ。冬の長いロシアならではの理にかなった家庭料理です。